そんなに難しいことなのかこれは、と思った話。

 イオンシネマが車椅子の方の利用を拒否して謝罪文掲載している件、いくつかの問題がぐちゃぐちゃに議論されていて、というか議論にすらならず投げつけられていて個人が可哀想だと感じてしまう。(まぁしかしそれがSNSなんで…と思ってしまう自分もいる…)そんな激論が交わされるほどの内容でもないように思うがなぁ。
 そもそも社会として依然バリアフリー化の意識が低く、「映画を楽なシートで観たい」という車椅子ユーザーの希望すら大きな人的コストを割かないと実現できないシステムの未熟さ自体が問題ではないのか、と思ったが、そういうことこそ意外と難しいのだろうか…諸外国はどうなんだろう。
 なので、「業務」の中で「善意」が占める割合が高くなっている現代の労働環境の中で、あの方の言い分に不満を感じる健常の労働者が多いというのは、また別の問題だと感じた。中でも「健常な体を持つ労働者階級は、障害をもつあなたよりよほど弱者だ。」という意見は、ひょっとしたら現在の日本の多くの人が抱える不満を表現していると言えるかもしれない。いやいや、そんなわけあるかい、と思うけれどね。車椅子で毎日生きる方の方がどう考えても困難多いやろうが。でも、自分自身、「炎上」「クレーム」そういう事象を恐れて細心の注意を払いたい中枢に、どんどん業務を増やされている当事者なので、上記の意見が訴えたいことというのも、嫌というほど分かる。悲しいが分かってしまう。お互いを慮ることを目指す社会。様々な人の様々な権利が実現される社会。それは、確かにマジョリティである自分達が理解し、寄り添うことでしか成し得ないのかもしれないが、では、それを過度に負担されられる私たちの生き辛さは、一体誰が慮ってくれるのだろう。そういう不満みたいなものが、蔓延っているのだよなぁ。わかる。
でもだからといって、正当な権利を主張している人に我慢を強いることで利を得ようとするのは違くないか?金払って介助者つけろ、車椅子スペースで観ればいい、自分達は足伸ばせるシートの快適さをを適正価格で享受するけど、というのは、なんだか、うーん、やはりそれが平等とは思えんなぁ…。社会保障ってなんなんってなってくる。全員がちょっとずつ生きやすくなって、より個々が社会に参画できる、そういう好循環を生むためのものじゃないんかねぇ。
子どもが生まれてしばらく、つくづく権利を享受できないことって苦しいもんだと感じた。映画館、美術館、おしゃれなカフェ、ライブハウス、そりゃあ子ども連れて行くなんて非常識だよね、そもそも受け入れ不可な場がほとんどやったしね。こんなこと大々的に述べたら即座に「自分でその状況作ったんやろ」とか言われそうな世の中やしね。窮屈さはあったよね、どうしても。だからこそ、松戸で娘と一緒に中村佳穂のライブ観られた時は本当に嬉しかった。子どもが騒ぐことを前提として、障害がある方に手を貸しあって場を作ることを前提として、ステージに上がったり、声を出したり踊ったりしながら、すごい開放感を味わえたよなぁ。こういう場がもっと多く、自分の身近な場所にもあればいいのにな、と思った。今回の件の車椅子ユーザーの方にとっても、あの映画館のあのシートは、そういう自分が受け入れられていることを感じられる周りが思う以上に大切な場所やったんやろうと思うよ。
それを現状の体制では受け入れできない、と言わざるを得ないならば、せめて、環境が整ってなくてどうしても難しい、ごめんね、って言ってあげてほしかった。そんなん、言い方だけの話やん、てなる人もおるかもやが、私は、不完全な社会だからこそ、言い方はものすごく大切やと思う。あなたが悪いんじゃないねんけど、とやっぱり言うてほしいよ。悪くないねんから。映画観たいだけやのに、のびのび観たいだけやのに、その場を提供できなくて、ごめんね、て言うてほしいな、私なら。この場に自分が客としておれば、全然、手伝うけどなぁ、その場のお客さんで手助けしてあげれば、この人も普通に観られるはずやねんけどなぁ。大した問題はないと思うけどなぁ。こういう方が、従業員に限らずに、「まぁ、誰かしら助けてくれるやろ。」て思えて、ちょっとでも気軽に行動しようという選択ができる雰囲気が広まればいい。余暇に誰かを少し手助けすることで、何を失うというのか。ちょっと嬉しい気持ちになるだけやけどなぁ。何も仕事する方の負担にせんでも、なんとかなりそうなもんやのになぁ。
あと、「介助の専門知識がない人が手を出すのは危ないからしょうがない」という意見については、いや、そんな、どんな時でも専門家に手助けしてもらう環境こそ実現不可じゃね?と思った。今回は本人口聞けるんやから、コツ教わりながら複数人で手助けすりゃええやん、細けえなぁ、と思ったが、専門の方からすると、舐めんな、という意見なのかもしれんな、うん。でもそう思う。
うーん、難しい問題やけど、何がまずいと感じるかって、「イオン」ですらそんなこと言うんかー、という現実ね。国内最大手の企業ですら、身体障害がある方を受け入れる土台がない。まぁ、上層部からすると、おい、てなるようなことやから謝罪をしたんやろうと信じたいけどなぁ。
気軽に声掛け合える社会を作っていきてぇなぁ。身近なとこからコツコツと。これは、いつでも変わらないこと。

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