夏休み、楽しかった。
ほんまに。
私はこの仕事に向いてなくはないというか、学校への不信感もってる保護者の方の気持ちとかも、めちゃくちゃよくわかるんよ。そら、そうやんな。子どもがんじがらめにされてな、毎日気分悪いよな、わかる。でもな、という複雑な気分で日々働いてる。
でも、この感覚がきっと私を救ってくれてて、大体の方は、話せば分かってくれるな、と感じながら日々過ごせてる。
そして夏休みがある。
夏休みにいっぱい休んで、友達と話して、げらげら笑って、本読んで、好きな人のこと考えて、私はこのようになるべきや、とか熱心に興味のあることばっかり考えていたら、なんとなく、私はこの仕事を辛くても、続けるべきや、という気がしてくる。まぁそれでも大変やから今こんなこと書いて気持ちを整理してるんやと思うけど。
西加奈子さんの「くもをさがす」ほんまに、読んでよかった。大好きな作家さんが病に苦しんでて、めちゃくちゃ辛かったけど、自分との向き合い方、他者と協働して生きていくことの大切さ、とてもクリアな視線で文章が綴られていて、読み終わったら私も西さんのように今の自分の体を愛せるような気がした。
カナダでの暮らしや、そこで働き暮らす人々のことがよく分かって、それによって、私は、自分がどうしようもなく日本人なんだなぁと実感した。
一番身に沁みたのは、「カナダの人は自分のミスでない限り、自分が働いている組織を代表して謝ったりしない」というところ。
私は、めちゃくちゃ謝ってしまう。自分の学校のことについて、自分がしていないことでも、不快な思いをしたと訴えている保護者が目の前にいれば、「私たちの責任」において、謝らねばならない、という思いを強くもってしまう。
あと、西さんが「日本で、子連れで電車に乗る時は、周りの人にちゃんと迷惑だと思ってますよ、ちゃんと子どもを見てますよ、ということを伝えるために騒ぐ子どもを注意をしてしまっている自分がいる」というようなことを語られていて、それがむちゃくちゃよく分かった。
あともう一つ、広告の話。確かに日本では「〇〇見え」を目指す、という美容広告がとても多い。若見え、細見え、高見え……高見えなんてのは、よく、高そうに見えてりゃそれでええんかい、と心の中でツッコんではいたが、やはり自分も、そのように固定化された「美しい」に囚われている側面がいまだ多々あるな、と実感する。
これらの話は全て、私自身がそうすべきだ、と思っていることというより、こうしなければ、他者に非難の目を向けられるから、それを回避したいから、という思いが一番の動機になっている気がする。
ともかく日本は、つまり私は、カナダと比べると、清潔なものが好きで、というか不潔なものが嫌いで、周りに迷惑をかけるということに敏感で、固定化された見た目の美しさへの渇望があって、そこからはみ出すことにどうしても強い恐れがあるのだな、ということを感じた。それが、私たちの生き方をとても窮屈にしているのだな、と。
どうして、犬好きや猫好きがこんなに多いのに、殺処分の問題がもっともっと議論されないんだろう、といつも思っていたが、ひょっとして…野良の犬や猫が汚いからなんじゃないのか、ペットショップの犬や猫が清潔でふわふわして、可愛いからじゃないのか、って気づいて、ゾッとした。
大学の時、男の友人に、指の形について、失礼なことを言われた。本当は、もっと失礼なことを言われたけど、まだ書きたくない。今思えば、誰が言うとんねん、とツッコミたくなるほど失礼で下世話だけど、それが「若い女なのに」というニュアンスで発せられた言葉だからこそ、私はめちゃくちゃ恥ずかしかった。自分の体を美しく見られるようにケアできていない、他のみんなはできているのに、という劣等感を感じた。ばかばかしい!
自分の乳癌の手術痕を「綺麗やん!」と心から思って周りにも誇れる西さんを見てみろよ。なんてかっこいいんだ。
でも、やっぱり私は、組織を代表して謝ると思うねんなぁ、これからも。周りと協調したいしなぁ、意識を急激に入れ替えることは難しいよ。
そして、自分のことじゃなくても、なんやったら相手が大嫌いでも、まぁその場を穏便に済まそうと丸く対応する日本人の気質が、私は結構好きだ。あまりに親切で、丁寧で、時に酷いクレーマーを生みかねないほどに、礼儀正しい、そのおかげで私は居心地良く暮らせているよなぁとも思った。でも、結構大人数が、仕事の中で、そのような親切を施すことに疲れ果てていて、逃避するための何かが自分にどうしても必要になっているのかもしれない。仕事でない場面でまで、他者に優しくしている場合じゃないのかもしれない。
この国はそれほどに、とても窮屈で、とても繊細だ。
今回、ばかばかしいこと気にしてたもんだな、とはっきり思えた気持ちはこれからも大切にしたい。もう誰にも、傷つけられない、自分の思う美しい体で生きていたい。
自分の苦しみでいっぱいっぱいだったろうに、世界に目を向けることを決してやめなかった西加奈子さんを心から尊敬する。
ウクライナのことやアフガニスタンの女性のことなどを思うと、何を呑気に暮らしてんだよ、と自分を咎めたくなる。しかし、私は目の前の自分の人生をまずは生きるしかない。でも放っておいちゃだめ。忘れちゃだめ。てかそんな悠長なこと言ってる状況ですらねぇ。だから、自国のことをこそ、もっと見つめていかないとなぁ。
最後に、一番一番心に残った言葉を。
「カナコ。がん患者やからって、喜びを奪われるべきやない。」
かほ
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