またきた。

またきたな。

こいつが。

こいつがくると碌なことがない。

今年はとにかくこいつがよくやってくるな。

ひた、ひた、とこいつは絶え間なく、ずっと私を追いかけているのだろう。

振り切れないことはない。

大した力を持ったやつでもない。

ただこちらがぼんやりと息をついた時、

一つのことを考えるために立ち止まった時、

振り返るとそこにいて、じわりと私を蝕む。

「不安」そんな風な名前がつけられているやつだが、これを単純に「不安」と呼んでいいのか、私は悩んでいる。

安心できないことに違いはないのだけど、

今、のうのうと安心感に包まれて生きていていいのか？

そんな風にも思う。

でも、こいつと寝食を共にしてはいられないのだ。

私は明日も元気を出して、働かないといけないのだから。

だから、わざわざこうして、書いて、書いて、侵食された部分を濾過しなければならない。

本当は解決しない問題があるならば、そのままに、悩んで悩んでモヤモヤとして、全部抱えて生きていければいいのにと思う。

でも私は、安心したくて、幸せでいたくて、発散したくて、なんの意味もなくても、こうして、文章を書いて、何かをしたつもりになって、明日を平和に過ごそうとしている。

ずりぃなぁ。

でも悪いことじゃないと思う。

でもずるいよ。

go toトラベルとか、なんだかんださぁ、結構みんな、食いつくんだなあ。

お得なら、いいじゃん、ていう、乗っからなきゃ、損じゃん、ていう、うん、そらそうだ。

安くなるに越したことはないよ。

そうだよなぁ。

悪くないよなー。

今の状況を、誰かが悪かった、という風にしたくない私がいるんだよなぁ。

旅行することを、誰かと過ごすことを、何かの原因にしたくなくて、しかし、どう考えても、それが、今医療現場を逼迫させていて、ふぅむ…。

やっぱり早すぎたと、旅行の割引キャンペーンなんてもんは、早過ぎたよ、と思うんだけどさぁ、いやでもさぁ、そんなん考えたら分かるやろ、キャンペーンしてようがしてまいが、こういうリスクを背負って過ごさなあかんナウやったやんか私たち。

何がこんなに嫌なんかっていうと、生きるか死ぬかでやっとる人の話題が少なくて、こんな、旅行代がうんたらキャンセル料がうんたら〜っちゅう話題が中心になるエンターテイメント気質っちゅうのか、なんちゅうのか…。

がめつい。

これや。

「がめつさ」が憎い。

世の中のがめつさが、辛い。

なんでそんなに損したくないねん。

払っといてくれよキャンセル料ぐらい。

それ払うと食えなくなるか？

そんな状況で旅行行くか？

いや…あり得なくはない、かぁ。

ていう、個々の事情を考え出すともう永遠ループで、しかし、「一番辛いところ」にまず大きく税金を使う。

それが普通じゃないのんか？

旅行したい個人なんか、どうでもええねん。

しろや、自腹で。

好きにすればいいよ、リスクをおって。

人には今会わなければならない人もいるやろうし、今やらなければいけない会合も、あると思うよ私は。

自分に何かがあった時は医療現場に負担をかける一端になること、感染が拡大し続ければ今よりも自由が失われる可能性があること、諸々考えながら、思うようにしたらええと思うよ。

しかし、国として、今そんな個人の事情に寄り添う余裕は全くなくって、死にかけてる人、死ぬほど辛い中働き詰めている人、を救おうと動かずしてどうするか、と思う。

強い権力が動くことは、何よりも恐ろしい。

しかし、がめつい国民のご機嫌をとるように動き回る政府も、なんと恐ろしいものか、と実感している。

私は元々、自粛自粛な風潮には反対やったんや。

しかしそんな私が自粛せなこれ、ほんまどうにもならん、と思うほど、全てがなぁなぁで、ぐらぐらで、救うべき人は救われず、振り回されて、もうええやん、みたいな空気の中、損する立場にたまたま立ってしまった人達だけが損し続ける。

なんじゃこりゃあ、と叫びたい。

みんなはなんじゃこりゃあと叫びたくないのかな。

それともなんじゃこりゃあと叫びたいけど、堪えて、叫んだらうるさいしな、て我慢してるんかな。

私はたまに、こうして叫んでしまうなぁ。

近くのお店を、支えよう。

しんどそうな人を、自分から見つけに行こう。

遠くのことは、遠くの人がきっと同じように考えているさと、信じて。

まず、自分ががめつくならないこと。

おかしいと感じているものに、お得やからって、乗っからないこと。

近くにいる、どうしようもなく辛い人を見つけたら、助けよう。少しでも。

自分の体調にも、気をつけながら。

楽しめることは、楽しんで。

明るいことが、起きないなら、起こす。

そんな気概をもって、やってみよう。

明日も頑張るぞ。